名ばかり管理職とは?

社会問題にさえなっている「名ばかり管理職」とはどういう人達を言うのでしょうか?

この名ばかり管理職という問題を引き起こした条文があります。

労働基準法第41条「労働基準法第4章(労働時間)、6章(年少者)及び6章の2(妊産婦等)で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次のいずれかに該当する労働者については適用しない。」

  1. 農業、水産業等に従事する者
  2. 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事項を取り扱う者
  3. 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可を受けたもの
労働時間
1日8時間、1週40時間まで
休憩
労働時間が6時間を超え8時間以内は45分、8時間を超える場合は1時間
労働時間の途中に与える
一斉に与える
自由に利用させる
休日
毎週1回の休日を与える
4週を通じ4日以上の休日を与える

2番目の監督若しくは管理の地位にある者がいわゆる管理監督者と言われる者で、特に労働時間(1日8時間、1週40時間以内)の規定が適用されないことが問題になっています。

管理監督者

管理監督者の範囲として、通達(昭和22年9月13日基発17号、昭和63年3月14日、基発第150号)により次のように取り扱うようなっています。

原則

法に規定する労働時間、休憩、休日等の労働条件は、最低基準を定めたものであるから、この規制の枠を超えて労働させる場合には、法所定の割増賃金を支払うべきことは、すべての労働者に共通する基本原則であり、企業が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する職制上の役付者であれば全てが管理監督者として例外的取扱いが認められるものではないこと。

適用除外の趣旨

これらの職制上の役付者のうち、労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限って管理監督者として法41条による適用の除外が認められる趣旨であること。従って、その範囲はその限りに、限定しなければならないものであること。

実態に基づく判断

一般に、企業においては、職務の内容と権限等に応じた地位(以下「職位」という。)と経験、能力等に基づく格付(以下「資格」という。)とによって人事管理が行われている場合があるが、管理監督者の範囲を決めるにあたっては、かかる資格及び職位の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務態様に着目する必要があること。

待遇に対する留意

管理監督者であるかの判定にあたっては、上記のほか、賃金等の待遇面についても無視しえないものであること。この場合、定期給与である基本給、役付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か、ボーナス等の一時金の支給率、その算定起訴賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か等について留意する必要があること。なお、一般労働者に比べ優遇措置が講じられているからといって、実態のない役付者が管理監督者に含まれるものではないこと。

スタッフ職の取扱い

法制定当時には、あまり見られなかったいわゆるスタッフ職が、本社の企画、調査等の部門に多く配置されており、これらスタッフの企業内における処遇の程度によっては、管理監督者と同様に取扱い、法の規制外においても、これらの者の地位からして特に労働者の保護に欠けるおそれがないと考えられ、かつ、法が監督者のほかに、管理者も含めていることに着目して、一定の範囲の者については、同法41条第2号外該当者に含めて取り扱うことが妥当であると考えられること。

会社側の都合のよい解釈

管理監督者にすれば、労働時間や休日の規制がなくなることから、残業代を支払わなくてもよいという安易な考え方から違法行為が横行したのだと思います。しかし、相応の待遇(賃金面、労務面どちらも)がともなっていなければならないということが欠如してしまっている役職は、管理監督者ではないということです。

洋服小売り店やファーストフード店の店長には、金銭面の優遇もなければ労務管理の権限も与えられていなかったことから、管理監督者という位置づけには当たらない判決が下されています。

管理監督者にも適用される規定

深夜業に対する割増賃金有給休暇を取得する権利は管理監督者にも適用されます。本当の管理監督者であっても、深夜残業すれば深夜割増賃金を支払わなければなりませんし、有給休暇の申請があれば拒否することはできません。

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